最高裁判所第二小法廷 昭和28年(ク)26号 決定
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(要旨) 高等裁判所がその決定において示した憲法上の判断が無用のものであるときは、その判断の不当なことを理由とする特別抗告は不適法である。
(説明)(一) 抗告人は東京地方裁判所における不動産競売事件の競売開始決定に対し、競売申立債権の一部が弁済期未到であること等を理由として異議の申立をしたが、同裁判所はこれにつき直ちに裁判をなすことなく、競売期日後に至つて始めて異議申立却下の決定をした。しかもその決定には何らの理由をも示さなかつた。かくの如きは憲法三二条が保障する国民の裁判を受ける権利を奪うものだから右却下決定は取消さるべきである、というのが抗告人の原審における抗告理由。これに対し原審東京高等裁判所は、競売開始決定に対する異議申立についての裁判を競売期日後にしても何ら違法ではないし、また所論の却下決定には理由が付してあるから、東京地方裁判所の措置には何ら憲法三二条違反の点はない旨説示し、抗告を棄却した。そこで抗告人から右憲法上の判断の不当を理由として最高裁判所に特別抗告を申立てたのが本件である。
(二) 民訴四一九条ノ二によれば、不服申立の許されない決定命令に対しては、「其ノ裁判ニ於テ法律、命令、規則又ハ処分カ憲法ニ適合スルヤ否ニ付原裁判所カ為シタル判断ノ不当ナルコトヲ理由トスルトキ」は、最高裁判所にいわゆる特別抗告を申立てることができ、本件抗告理由は前記の如く原決定の憲法上の判断の不当を主張するものであるから、一応右の場合にあたるように見える。しかし原審における前記抗告理由のような主張は、その実質は単なる法令違背の主張であつて違憲の主張と認むべきではない、とするのが従の最高裁判所の考え方である。したがつて本件においても、原審は実質的抗告理由と認められる法令違背の有無を判断すれば足りたのであつて、前記のように抗告理由の違憲論に正面から答えて憲法三二条違反の有無の判断をしたのは――もとより何ら違法でも不当でもないが――無用の判断だつたということになる。然らば右判断の内容の不当を理由とする本件抗告理由に対しては最高裁判所は判断を要しないわけであるから、結局かかる抗告理由は民訴四一九条ノ二に定めた適法な違憲の主張とはいえない。以上の理由により最高裁判所は本件抗告を不適法として却下した。